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”流れの落ち葉”53 出張5帰国

流れの落ち葉

 

”流れの落ち葉”53 出張5帰国

写真は城の能舞台の池に泳ぐ鯉です。

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 無事連雲港の飛行場に着いた私、藤木裕太は項さんのワーゴンで高速道路を
走って、汽車の駅前ホテルを過ぎ、加工区の門も過ぎて街中を過ぎます。
屋台や、汽車が走っている機関区を通って、海近くの別荘のようなホテルに
着きました。 門には守衛が立っており、反対側の小道を行くと砂浜が
広がった海に出ます。 そして、中庭があり、レストランやバー、お土産屋も
揃っています。 チェクインして部屋にはボーイが案内し、香港人は着いて
来れません、保安の為でしょう。 部屋に入るとダブルベッドで全て揃っており
反対のドアーを開けると中庭に出れます。 
 その後、会社に行くと何と工場の外壁が新しく塗り替えられて、社員も笑顔で
迎えてくれました。 恐らく先回の製品出荷で金が入ったんでしょう。

 

「薫事長さん又、来ましたヨー、宜しくネー」
「オーオー、何遍でも、来る良いネー」
「犀さん又、来たヨー、今度も指導よろしくネー」
「はいーよろしくネー便所も、もっと綺麗にした、有るのことヨー」

 

 それから生産が始まったのですが、香港人のチビナス項さん時間がルーズで
ズボラなのか、帰りの車とか迎えにも、なかなか送向車が来ずに香港事務所まで
工事中の作業員の中を何度も歩いて帰りました。 最初は生産も軌道に乗って
スムーズでしたが、パーツ遅れとかで、雲行きが怪しくなってきました。
 それでも、一回目の出荷は出来たのですが、バイヤー検品で日本人検査員が来て
帰った後、上海で飛行機が遅れた為、気分を悪くしたのです。 それは夜10時頃、
ホテルに電話が掛かってきて、それから何と一時間もグチを言う始末です。 
何とか宥めて電話を切りましたが、これもケチの付き始めです。

 

「おいー、児さん出荷検査頼むデー」
「分かっているの、有るネー」
「しゃけんどー、検査待ちが、溜まっているやんケー」
「そらなアー、出来んもんは出来へんのヤー」
「そんならアー、残業してヨー、残業代を稼がんかいヤー」
「そんなもん、金いらんネンー、今の金で充分生活出来るからネー」

 

 そう、この頃の彼らは欲が無いのです。 そして旧正月休みです。
 今から思うと北京でも観光したら良かったのですが、仕事しに来たんやと
中庭で飲んだり、バーでアルゼンチンの出稼ぎ労働者と飲んでいました。

 

「良いお天気ですネー、タバコでも、どうですカー」
「ありがとうヨー、あんた日本からかネー」
「そうですガー、何か見えるんですカー」
「うんー、あんたー知っているかネー、此所から和歌山の辺が見えるんヤー」
「エーエー、見えるんですカー、所で立派な息子さんですネー」
「ウ、ウー、そうですガー、わしら農夫これで満足じゃアー」
「でも、都会に出て金儲けでもするんケー」
「何を言うんジャー、わしら今で食えるんケー、これで大満足じゃあンー」

 

 ああー、又金の欲無い人が出てきたデー、海辺に散歩に行った時のことです。
こんな調子で仕事は製品の出荷が段々遅れの重なりでバイヤー検査品の予定も
付かなく、出荷遅れも重なりました。

 

「オーオーイ-、ケイチャン聞こえるカー、わしヤー、今田ヤー」
「エーエー、今田課長なんで電話してんねんヤー」
「そうー、久山さんから俺がオーデイオ生産技術課を引き継いだんヤー」
「エー、人事異動あったんですカー」
「そうやー、それで電話したんヤー、あんた何時まで、そこに居るんヤー」
「そう言うけれどオー、5500千台出荷したけど、残り500 台有りますガー」
「阿呆か、お前の出張費と出荷経費を比べたら、お前に払うの高いワー」
「そう言うても、全部出荷せいと久山課長の命令ですガー」
「ゴチャゴチャ言わんと直ぐ帰ってこいヤー」

 

 そう、何という言い草ヤー、俺は命令で残りの仕事を完遂しようと真面目
に酒を飲みながら、出荷を待っていた丈やのニー。 そう言うても命令です、
香港の項さんであるチビコナスーに説明をして、直ぐに日本に帰るでと、
言うとコンベヤーに在る治具他を処分して良い契約書にサインしてと言う。
 そんなん、なんぼでもサインしたるは飛行場又、止まってるから南京まで
車で送てんカーと飛行機の切符を手配させました。 飛行機が止まって
いるので南京から、香港経由で日本に帰るのです。
 そして、南京まで一昼夜を掛け南京大飯店に泊まり、明くる朝ワゴンで
飛行場まで送って貰ったのですが小雨が降っていました。
 所が車の渋滞で飛行機に遅れそうです、途中から走ったは、走ったは
靴も泥だらけでしたが、間に合いました。 着くと彼らは、ハイーサイならと
私のチエツクインも見ずにササと帰って行きました。

 

「これー、酒あるネーダメヨー誰か見送り居らんネー」
「奴らー、香港人め、ササと帰ったんヤー、ダメならあんたに、あげるヨー」
「オーオー、贈賄ダメあるヨー、しょうがないネー飛行機中持って行きなさイー」

 

 と飛行機に乗り、空いていたので後ろ寄りに乗り、スチュワーデスに氷を
持ってこさせウイスキーで宜しく飲んでいる内に香港に着き降りました。
そして、税関に向かう途中ジャンパーを忘れたのを気づきスチュワーデス係りに
説明して待ていると取ってきてくれました。
 税関後、荷物を取りに行くと銃を持った警備のオーチャンが笑いながら、
私の頬キズを見てピストル持って無いネーと言うので、泡てて手を振って
持ってないよと言う。 (追記、誤解の無いように追加させて頂きます。キズは
”流れ落ち葉46余話12養生訓4/18”で述べたように、タバコの吸いすぎで
コブトリ爺さんに成ったためです。) 
香港の事務所からマンションに泊まり、駐在員と飲み語りして、大択さんなんかも
何所だったか、中国の外注に行ったそうです。 そして、やっと日本に帰れました。
 次は通信機に居候の話しです。                             

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